【特集記事】会社の安全・安心に、複数のネットワークカメラで集めたデータを有効活用しませんか?(後編)
集めた映像データを使って労働災害防止
昨今、企業において情報伝達手段の1つとして、映像の活用が広がりつつあります。これまで企業内の情報伝達手段は、社内報やテキストメール、PDFやjpg画像のメール添付が主流でした。
しかし、AI・IoT 等のDX化の流れと共に、テキストや静止画像から、映像へと進化しています。特にマニュアルに関しては、文字や画像では説明できない部分を、動画マニュアルとして活用することで、視覚と聴覚へとダイレクトに伝達し、理解を促すことができます。尚且つ、情報伝達のタイムラグがなく印刷コストがかかりません。
特に労働災害においては、一刻も早く危険を告知し回避する必要があるので、迅速な危険情報の「伝達・共有」がとても重要になります。
ー事例①危険個所にネットワークカメラを設置し「不安全行為」を解析
ー事例②危険予知訓練(KYT)への応用
ー事例③リスクアセスメント活用の期待
ー上記④製造業で発生する「製品検査の見逃し」を防止
・まとめ
映像データを使った応用・活用の事例
前半記事でお伝えした通り、事業者にとって「労働災害の防止策」は、積極的に取り組むべき課題です。国策でも厚生労働省・中央労働災害防止協会にて、
労働安全衛生マネジメントシステム「OSHMS(Occupational Safety and Health Management System)」
を指針として掲げています。
「OSHMS」とは、事業者が、仕事場の安全衛生水準の向上を図るために継続的に行う、自主的な安全衛生管理の仕組みのことを意味します。事業者が、安全衛生水準の向上に取り組むことにより、労働災害の防止と、労働者の安全が確保できる職場の形成を目指すことが可能になります。そこに取り入れられるのが、複数のネットワークカメラとVMSです。以下に、映像のマニュアル化や危険予知訓練(KYT)への応用、リスクアセスメント活用への期待をご紹介します。
動画管理システムでスマートファクトリー化を促進|複数カメラの一元管理やリアルタイム監視で工場監視を管理を効率化|VMSについてくわしくみる
危険箇所にネットワークカメラを設置し「不安全行為」を解析
例えば製造工場の場合、危険だと思われる箇所に、複数のネットワークカメラを設置します。工場内を24時間撮影し、オンプレやクラウドのサーバー上に映像をストックします。撮り溜めた映像をVMSもしくはAI解析ソフトに、「不安全行為」だと思われる挙動を機械学習させ、「不安全行為」を解析させます。労働災害に繋がりそうな映像をピックアップし、危険映像を即時に、社内のメールやスマートフォン、パソコンなどに情報共有します。緊急性のある危険情報を、瞬時に社内へ情報伝達・共有ができ、危険回避に繋げることが可能です。
もし、時間と共に広がる危険であれば、スピーディに情報伝達・共有できれば、被害の増幅を時間軸で抑止することができます。複数のネットワークカメラを使って24時間撮影することで、「不安全行為」が解析でき、「OSHMS」の指針に則った動画マニュアル作成としても活用することができます。
危険予知訓練(KYT)への応用
製造工場などの危険を伴う現場では、危険を回避し事故を抑止するために、「危険予知訓練(KYT)」が取り入れられています。
危険予知訓練は、危険(キケン、Kiken)のK、予知(ヨチ、Yochi)のY、トレーニング(トレーニング、Training)のTをとって、KYTと読みます。
「危険予知訓練(KYT)」は、職場の作業環境に潜む、危険性や有害性等の危険要因を発見し、解決する能力を高める手法です。描いたイラストシートを使って、現場で実際に作業を行いながら、グループで話し合い考察し、危険のポイントや重点実施項目を指差唱和・指差呼称で確認し、行動する前に解決する訓練です。
今まで、描いたイラストシーンを使って行っていた「危険予知訓練(KYT)」に、VMSで解析した「不安全行為」の映像を応用することで、より詳細な危険予知が可能になります。映像から視覚と聴覚でダイレクトに理解を促し、人の想像力の一助として利用できます。
リスクアセスメント活用への期待
リスクアセスメントは労働災害防止対策の一つで、厚生労働省が指針として掲げています。職場の潜在的な危険性又は有害性を見つけ出し、除去、低減するための手法です。従来の労働災害防止対策は、発生した労働災害の原因を調査し、類似災害の再発防止対策を確立し、各職場に徹底していくという手法が基本でした。しかし、災害が発生していない職場であっても作業の潜在的な危険性や有害性は存在するという実情があります。
昨今、技術の進展等により、多種多様な機械設備や化学物質等が生産現場で用いられ、危険性や有害性が多様化しています。放置すると労働災害が発生する可能性があります。そこで「労働災害が発生していない職場」であっても、複数のネットワークカメラとVMSを活用することで、危険要因を機械学習させ「危険予知」し、労働災害の抑止に繋げることが期待できます。
製造業で発生する「製品検査の見逃し」を防止
製品を製造する上で、いかに不良品を見逃さないかという点も重要です。安全な品質を保つには、不良品を出さない製造工程の取り組みと、不良品を検査する仕組みが必要となります。
人の目による検査の場合では、ヒューマンエラーによる見逃しは避けられません。異常のある製品を見逃して市場へ流出してしまうと、クレームや会社への信頼低下といった致命的なダメージを被ります。
そこで活用できるのが、複数のネットワークカメラとVMS・AI解析ソフトです。出来上がった製品の製造ライン上に複数のネットワークカメラを設置し、VMSにてモニターで一元管理します。モニターに映し出された映像に、AI解析ソフトで「ディープラーニング(深層学習)」を用い製品を検査します。検査の回数を重ねるごとに、機械学習の精度が上がり、「正常・異常」をより的確に判断できるようになるのが特徴です。
複数のネットワークカメラとVMS・AI解析ソフトの導入により、製品検査の見逃し防止に活用することができます。
▼関連記事はこちら