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クラウドカメラの動画を軽くする必要性|動画圧縮符号化や低ビットレート化について解説

作成者: JFE商事エレクトロニクス|Feb 28, 2024 10:45:04 AM

概要

昨今、街角や工場の敷地内、さらには生産プロセスの管理などで、様々な監視カメラが活躍しています。中でもネットワークカメラの一種であるクラウド監視カメラは、レコーダーが不要なことから導入が進んでいる監視カメラです。

しかし、クラウド監視カメラのオリジナルデータはデータ量が大きいという問題があり、そこで必要となるのが「動画圧縮符号化」という技術です。本記事では、動画デジタルデータを小さくする「動画圧縮符号化」や「低ビットレート化」の必要性のほか、そもそも動画のデータ量はどのぐらいか、また、JFE商事エレクトロニクス(以下弊社)のクラウド監視カメラが持つ優位性とは何かについて解説します。

目次

サーバに動画を送信・保存できるクラウド監視カメラとは

一般的な監視カメラの画像サイズ(画素数)

・1画素のデータ量はどのぐらい?

・クラウドカメラの動画が重いとどうなる?

・動画を軽くする「動画圧縮符号化」とは

・カメラ内部で行われる「圧縮符号化」

・クラウドへの動画送信・保存、軽くするには「圧縮符号化」だけでは足りない理由

クラウドからの動画閲覧はどうか

・動画のビットレートとは?

低ビットレート化の必要性のまとめ

さらなる低ビットレート化を実現するクラウド監視カメラ

 

サーバに動画を送信・保存できるクラウド監視カメラとは

 クラウド監視カメラとは、インターネット上にあるサーバに動画を送信し、そのサーバ上に一定期間、動画を保存できるカメラです。サーバに接続することで、スマホやPCからリアルタイムで動画を閲覧できたり、録画した過去の動画を再生できたりします。

また、クラウドへの送信機能(ゲートウェイ:SIM内蔵4G/LTEルータ)が一体となっているものやセットになっているものもあります。これらは電源を接続するだけで、クラウド上に監視動画を送信することが可能です。

一般的な監視カメラの画像サイズ(画素数)

 「動画圧縮符号化」を説明する前に、まず監視カメラの画像サイズについて説明します。

 皆さんがお使いの監視カメラの画像サイズ(画素数)はどれくらいかご存知でしょうか?監視カメラの画像サイズは、一般的には下記の通りです。

一般的な監視カメラの画像サイズ

SD(Standard Definition)

 DVD画質と言われたりしますが、一般には720×480(約30万画素)です。

HD(High Definition)

 SDとフルHDの中間で、一般には1280×720(約92万画素)です。

FHD(Full High Definition)

 BSテレビ放送のサイズで、一般には1920×1080(約200万画素)  です。

※余談ですが、地上テレビ放送は通常1440×1080の画素数しかありません。これをテレビ画面に映す際に、1920×1080に横に引き伸ばしています。

4K(4K High Definition)

 液晶テレビでは主流になりつつあるサイズで、3840×2160(FHDの4倍画素=縦横2倍)です。

 これ以外にも様々な画素数のカメラがありますが、弊社で取り扱いのクラウド監視カメラは、HDまたはFHDになります。

1画素のデータ量はどのぐらい?

 カメラの画素数について分かりましたが、では1画素のデータ量はどのぐらいでしょうか?

 一般に1画素は、RGB(赤・緑・青=光の三原色)を各8bit=256段階)で表しています。1画素あたり赤8bit、緑8bit、青8bitで、24bit(約1677万色を表現)です。プロAV(映画・TV)向けではそれ以上のbit数も存在しますが、ここでは監視カメラに限定して説明します。

そうすると動画の静止画像1枚当たりのデータ量は、

 SDは、720×480×24bit=8,294,400=8.29Mbit

 HDは、1280×720×24bit=22,118,400=22.1Mbit

 FHDは、1920×1080×24bit=49,766,400=49.8Mbit

となります。

 また、監視カメラは動画で撮影するため、1秒間に何コマ撮影するかで「1秒間に必要なデータ量」、いわゆるビットレート(帯域)が変わります。例えば、1秒間に20コマ(20fps)の動画像だとすると、静止画1枚あたりのデータ量の20倍が1秒間の動画データ量です。

 画像サイズごとのデータ量は以下の通りです。

 ・SDは、8,294,400×20fps=165,888,000=165.9Mbit/

 ・HDは、22,118,400×20fps=442,368,000=442.4Mbit/

 ・FHDは、49,766,400×20fps=995,328,000=0.996Gbit/

  (約1Gbit/秒)

 1秒間のデータ量が膨大な量だというのが分かるかと思います。

 一般に普及しているGigabitEtherLANは、1Gbit/秒の伝送能力を持ちます。ネットワークカメラの場合、カメラ動画をLANでモニタ側に伝送することを考えると、FHD画質をそのままのデジタルデータで伝送していては、ビットレートが高すぎるという問題が発生します(監視動画以外のデータが送信できない)。

 ましてやクラウドに動画を送信することや、スマホなどで4G/5G経由で閲覧することを考えると、そのままのデータ量で伝送するのは現実的ではありません。

クラウドカメラの動画が重いとどうなる?

映像の遅延

重い(データ量が多い)動画の場合、映像がスムーズに再生されなくなることがあります。これにより、遅延が生じ、映像がぎこちなくなったり、映像と音声が同期しなくなったりすることがあります。

ネットワーク負荷

動画が重いと、ネットワーク帯域幅が増加し、ネットワーク負荷が増大することがあります。これにより、ネットワークが遅くなり、他のネットワークアプリケーションのパフォーマンスにも影響を与える可能性があります。

ストレージ不足

動画が重いことで起こるのが、クラウド上のストレージ容量の不足です。これにより、新しい動画をアップロードすることができなくなることもあります。

以上のような問題を避けるためには、クラウドカメラの動画を軽くすることが必要です。具体的には、動画の解像度を下げたり、ビットレートを調整したりすることで、動画のサイズを小さくできます。

動画を軽くする「動画圧縮符号化」とは

 動画の圧縮とは、動画ファイルのサイズを小さくするために、画像や音声データを効率的に圧縮する方法のことを指します。動画を圧縮することにより、ストレージ容量の節約や、ネットワーク帯域幅の削減、再生に必要なコンピュータリソースの軽減などのメリットがあります。

動画の圧縮方式

・非可逆圧縮方式

データの一部を破棄することで、動画を軽くする方法です。このため、元の映像や音声の情報は戻りません。代表的なものにH.264や、H.265などがあります。主にクラウド監視カメラで採用される方式です。

・可逆圧縮方式

一方、データの一部を破棄することなく、情報を効率的に圧縮するのが可逆圧縮方式です。映像や音声の情報を復元することができますが、圧縮率が低くなります。動画や音声に一定のクオリティを必要とする動画配信サービスなどで採用されています。

カメラ内部で行われる「圧縮符号化」

 動画は非常に大きなデジタルデータのため、カメラ内部では動画の圧縮符号化、つまりデータ量/ビットレートの削減が行われています。圧縮符号化の詳しい説明は割愛しますが、人の目の特性(人の目は明るさに敏感で色に疎い)を利用した色情報の削減や、動画の場面毎の差分情報を利用して、データ量/ビットレートを削減します。

その規格(コーデック/codec)には、Motion-Jpeg、MPEG-2など様々な種類が存在しており、ネットワーク監視カメラで主に使用するのはH.264/H.265です。後から規格化されたH.265の方が、H.264よりも圧縮率が高くなっている反面、情報は失われています。 

 動画圧縮符号化によって、先ほどのFHD 20fps動画はどのくらいまで削減されるのでしょうか。

カメラの画質設定にもよりますが、ある程度良好な画質を維持する場合、H.264で5M~10Mbps、H.265で2M~5Mbps(bit per second=bit/秒)くらいになると言われています。

クラウドへの動画送信・保存、軽くするには「圧縮符号化」だけでは足りない理由

 動画圧縮符号化で、オリジナル動画データのデータ量/ビットレートが低減されたことは説明しました。

しかし、クラウド監視カメラの場合、クラウド(インターネット上のサーバ)に動画を送信・保存するためには、圧縮符号化だけで十分でしょうか。

クラウド監視カメラは、クラウドにモバイルキャリア回線(4G/LTE)を使って動画を送信します。FHD 20fps動画を、H.265によって2M5Mbpsまでビットレートを削減できるとして、データレートを考えると2Mbps以上伝送できる上り回線(端末から基地局方向)が必要です。

一般にモバイルキャリア回線は下り回線(基地局から端末方向)に伝送帯域の多くを割り当てているため、動画をクラウドに伝送することは厳しい場合があります。キャリア側で基地局あたりの利用者が多くなると、各端末への伝送帯域の割り当てが小さくなり、動画を伝送する条件はより厳しくなります。

また、2Mbpsは動きが少ない場面のビットレートと考えるべきで、動画内の動きが大きいと圧縮率が落ち、その分ビットレートは増加します。そのためリアルタイムでの閲覧ができず、動画保存データの欠落にもつながるかもしれません。

同じように動画保存容量のことも考えてみましょう。1秒間に2Mbit~のため、1分間で120Mbit~、1時間で7200Mbit/0.9GByte~、1日で21.6GByte以上になります(1Byte=8bit)。これを保存するにもそれなりのストレージが必要となり、モバイルキャリア回線のデータ容量制限に引っかかってしまうかもしれません。それを防ぐためにコストの高いキャリア契約にすると、ランニングコストが高くつきます。

クラウドからの動画閲覧はどうか

 さらに動画の閲覧においても課題があります。

カメラ1台当たり2Mbps~であれば問題無く閲覧できるかもしれませんが、複数台の監視カメラ動画を1台のパソコンで閲覧する時はどうでしょうか。例えば4台を一元監視で閲覧する場合、単純計算でもカメラ4台分にあたる8Mbps以上のビットレートが必要です。

先述のように動きが大きい動画の監視は、カメラ1台当たりのビットレートが2Mbpsで済まなくなり、4台のカメラの総ビットレートは10Mbps以上になるかもしれません。そうなるとネットワーク(モバイルキャリア)帯域が不足し、カメラ動画に画像の乱れ、動画の停止、表示の大幅な遅延などが発生するため、まともに閲覧ができない可能性があります。

そこで、さらなるビットレートの削減=低容量化・低帯域化、いわゆる「低ビットレート化」が必要なのです。

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動画のビットレートとは?

 ビットレートとは、動画データの転送速度を表す数値のことを指します。ビットレートは、秒間のデータ量(ビット数)を示す単位で、一般的には Mbps (メガビット/秒) や Kbps (キロビット/秒) で表されます。

ビットレートは、動画の品質とファイルサイズに直接関係しています。ビットレートが高いほど、動画の品質が向上しますが、ファイルサイズが大きくなります。一方、ビットレートが低いと、動画の品質が劣化する可能性がありますが、ファイルサイズを小さくできます。 

動画のビットレートは、エンコード時に設定されます。ビットレートを上げることで、高品質な映像を実現できますが、ネットワークの帯域幅によっては、再生中にバッファリングが発生する場合があります。そのため、ビットレートは、ネットワークの状況に合わせて調整することが重要です。 

また、動画の用途によっても、ビットレートの設定は異なります。例えば、ストリーミング配信では、ビットレートを低めに設定することで、ユーザーのネットワーク環境に合わせた最適な再生が可能になります。一方、高画質の映像を使用する場合や、編集用途などでは、ビットレートを高く設定する必要があるでしょう。

低ビットレート化の必要性のまとめ

 ここまで説明した、データ量の低容量化・低帯域化、つまり低ビットレート化の 必要性についてまとめました。

 ①上り伝送帯域の割当が少ないモバイルキャリア回線を使用するため、低いビットレートにして安定的に伝送する必要がある

 ②ビットレートが高いとモバイルキャリア回線のデータ容量の制限にかかりやすくなるため、割高なキャリア契約を必要とし、ランニングコストが上がる

 ③動画を保存する際にビットレートが高いと、保存領域として確保するストレージ容量が増え、ランニングコストが上がる

 ④複数台のカメラ映像を一元的に閲覧する場合、カメラの台数分のビットレートが必要になり、モバイルキャリア回線の下り伝送帯域が不足しやすくなる。それによって、閲覧時の動画の乱れや動画停止が発生する

さらなる低ビットレート化を実現するクラウド監視カメラ

 弊社が取り扱うクラウド監視カメラ「TMF Smart VSaaS」は、独自の動画圧縮符号化技術を用いており、さらなるビットレートの削減=低ビットレート化を実現しています。

一般的なH.265/H.264を用いた圧縮符号化画像と比べても遜色ない画質で、ビットレートは1/10~1/20まで低減(例:2Mbpsを0.1Mbpsまで低減=超低帯域)しています。これにより、モバイルキャリア回線のコスト削減、録画データの保存容量や保存コストの低減が可能です。

また、ビットレートを低減しているため複数台の監視カメラ映像を一元管理しても、映像の品質低下や停止を招くことがありません。さらに、その独自圧縮符号化技術で0.5秒の圧縮遅延(超低遅延)を実現しています。

クラウドへ動画を送信するためのゲートウェイ(SIM内蔵4G/LTEルータ)とカメラはセットになっており、電源さえ接続すれば、すぐにでもカメラ画像の保存・閲覧ができます。

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