【特集記事】VMSを活用したソリューションの広がり【後半】
VMSを使ったソリューションの広がり
VMSは、洋上風力発電設備での「遠隔監視」としての映像データ活用はもちろんのこと、 SCADAとの連携や、VMSの映像データを使った「AI解析」など、様々なソリューション活用にも広がりをみせています。
目次
VMSを効果的に活用する「二次効果」への期待
VMSは、遠隔監視としての「閲覧・録画・保存・検索・送信」などの機能以外にも、SCADAのような監視制御システムとの連携も可能です。また、AI解析ソフトとも連携が可能で、危険情報の自動通知など映像の「分析・解析」にも活用されています。
VMSは柔軟性や拡張性に優れ、他のシステムを接続する際にメーカーを問わず様々なシステムと連携ができるため、VMSとその他システムを連携させ、効果的に活用できる「二次効果」への期待が広がりつつあります。
洋上風力発電におけるSCADAとは
洋上風力発電設備に搭載されているシステムの1つとしてSCADAが挙げられます。SCADAは、Supervisory Control And Data Acquisition
の略称で、洋上風力発電設備のような大きな施設、およびプラントなどのインフラを構成する装置・設備から得ることができる情報を、ネットワークを介して一カ所に集約して監視し、制御する監視制御システムです。
SCADAを使うことで、施設のなかに点在するあらゆる機器の状態をデータから可視化し、制御する役割を果たします。
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洋上風力発電におけるSCADAとVMSの連携とは
VMSは、このSCADAに連携することができます。VMSは、
Video Management System(software)
の略称で、日本語に訳すと「映像監視ソフトウェア」もしくは「録画映像統合管理システム」と呼ばれます。つまり、映像を監視し、カメラの映像を「閲覧・録画・保存・検索・送信」するためのソフトウエアです。
SCADAの監視制御システムとVMSを連携することで、監視レベルの精度を上げることが可能です。
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洋上風力発電におけるSCADAとAIの連携とは
今まで、洋上風力発電設備においてVMSに求められてきた要件は、「現場のリアル」を把握する用途が主流でした。ところが時代の進化とともにビッグデータが取り扱えるようになり、従来では活用が難しかった非構造化データ(動画や音声、テキストなど)やリアルタイム性のあるデータの取り扱いがスムーズになったことで、VMSとAI解析ソフトを連携させた「危険予知」への用途にも広がりを見せています。
VMSのシステム連携や活用シーンを説明すると共に、その具体例をご紹介します。
VMSのシステム連携や活用シーン
VMSは、他のシステムを接続する際にメーカーの指定はなく、SCADAやAI解析ソフト、自社独自のシステム等と、柔軟なカスタマイズが可能です。
VMS導入後でもカメラの増設や設置場所の追加・変更ができ、拡張性に優れています。また、閲覧する場所や端末も問わず、中央管理室でパソコンからモニタリングしたり、遠隔地でiPadやスマートフォンなどのモバイル端末からも閲覧することも可能です。
活用シーンに応じて、SCADAのデジタル信号とVMSを連携させ、アラート発生時に遠隔監視カメラから得た映像をAI解析するなど、自社独自のシステムをシームレスに構築することができます。
洋上風力発電設備以外にも、小規模な工場施設から大規模なプラントまで、規模やスケールに合わせて、現場に即した監視体制の構築を実現できます。
VMSとSCADAとの連携のメリット
SCADAは、前述したように、洋上風力発電設備の各種センサーデータや制御データ(パラメータ設定値等)をモニターします。VMSはネットワークカメラを通じたリアルな映像をモニターします。この二つを融合することにより、以下のような大きなメリットが出てきます。
※洋上風力発電施設を[風車]と略称
- VMSの映像を常に視する必要がなく、SCADAのデータ異常が起きた時のみ映像を監視できるので、特に大量の風車を監視する場合、オペレーターの負担を軽くすることができる。
- SCADAのセンサーデータに異常が見られた際、遠く離れた風車の状況を目視することは困難だが、VMSと連携することにより、瞬時に現場の状況をカメラ越しに目視することが可能となり、異常状況の見過ごしを少なくできる。
- SCADAのデータ異常が見られた際、遠隔の専門家にメール等で自動通知し、現場の状況をカメラ越しにモニタリングしてもらい、早期の対応を可能にする。
- 異常を解析する時、SCADAが検知するデータ異常と同時刻、同じ位置関係にあるカメラ映像を、VMSから一瞬で抜き出す事が可能になる。
- 落雷等の異常発生時に、異常データをSCADAでサンプリングし、SCADA異常発生時のデータ推移と、落雷等による風車外観の変化を同時に解析できる。
- 風車の位置の違いによる状況解析や、時間経過による変化をSCADAのデータとVMS内のカメラ映像の両面から、容易に追いかけることができる。
- 定期検査後に異常が発生した場合、定期点検時の作業状況の録画とSCADAのデータトレンドから、作業と異常の因果関係の解析が可能になる。
- SCADAの各種センサーデータとVMS内の映像データで、外部環境の因果関係の解析ができる。例えば、積雪時の発電量の影響、高波時のブレード回転速度の影響など。
- 運転マニュアルや異常対応マニュアルを作成する際、SCADAデータと関連する、VMS内のカメラの映像を使用することにより、よりビジュアルなドキュメントを作成できる。
- 現地で対応できない場合は、ただちに遠隔地の専門家に、リモートからVMS内の映像を加えた目視データとSCADAデータの状況を見てもらい、適格な運転サポートを受けることができる。
データの異常検知の際、最終的な判断は「人の目」によって判断されます。だからこそ、映像データで可視化し、システムデータで分かりやすいように表現することが必要とされます。
VMSとSCADAを連携することで、「人の目」による判断の手助けをし、異常データから因果関係の解析が可能となるのです。
VMSとAI解析ソフトとの連携メリット
AI解析ソフトは、VMSが持つ映像データの「分析・解析」ができ、VMSの映像データを使って、映像の解析結果をリアルタイムに表現することができます。
VMS従来の「閲覧・録画・保存・検索・送信」機能に付加価値をもたらし、現場の詳細な状況の可視化を実現し、異常検知の精度を上げ、危険をより早く確実に予知することで、危険予知活動の向上が期待できます。
この二つを融合することにより、以下のような大きなメリットが出てきます。
※洋上風力発電施設を[風車]と略称
- 風車は洋上にあるため海鳥の飛来が避けられない。VMSの映像をAI 画像解析することにより、鳥を認識し飛来数のカウントに応用ができ、損傷検知ができる。
- 風車のブレードに落雷があったとき、雷撃直後の温度上昇の検出が、VMSの映像とAI解析ソフトによる画像認識技術で把握可能となる。
- 異常検知をAI解析ソフトで行う場合には、事前に機械学習が用いられる。VMSの映像を取り入れ、尚且つSCADAのデータを連携することで、AI解析による異常検知の機械学習に役立てることができる。
- 風車のブレード回転時における摩耗熱の発散を、VMSの映像とAI解析ソフトで解析することができ、摩耗熱による悪影響を予知することができる。
- 風車は常に無人のため、不審者侵入があった場合、指定した領域に侵入した人物を検知できる。また、不審物が置かれた際にも、指定した領域に物が置かれると検知することが可能になる。
- 風車から何かしらの原因で火花が散ったり、炎や煙が出た際に、火花・炎・煙の検知ができる。
- 風車のブレードの摩耗から出る音から異常が確認できた時、VMSの映像をAI解析し、異音と回転速度を見比べ原因解析ができる。
まとめ
上記のように、様々な角度からSCADAの監視制御データを抽出し、VMSの映像をAI解析することで、情報の統括管理ができ、スピーディーな対応に導くことが期待できます。
VMS (Video Management Systems) の導入により、遠隔監視や映像データ管理が可能に。SCADAシステムと連携し、AI分析ソフトを利用して危険を自動検知。これにより、運用効率が向上し、オペレーターの負担が軽減、安全性が向上します。
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